Pidoniaの世界へようこそ

私の標本箱から (35)

シラネヒメハナカミキリ(Pidonia obscurior)♀ 長野県高山村御飯岳 19.ⅶ.2010(写真1・2共に)



引き続きシラネヒメハナカミキリ(Pidonia obscurior)グループの話題から。今回は信濃(千曲)川の東側に位置する産地故、シラネヒメハナ原亜種に相当する一群。

今回の個体(写真1)は、♀でありながら上翅の斑紋が著しく退化した個体で、見ての通りほぼ肩部が露出したノースリーブ状態になっている。一般的に志賀高原界隈の個体群は、基縁紋、会合紋、側紋、後方横帯紋に囲まれた黄褐色部が基部方向に拡がる傾向にあり、この個体はそれの究極個体と言える代物でなかなかの貴重品。同日・同場所で獲られた個体が全て(写真2)の如き通常タイプであったことを鑑みれば、その異端ぶりをご理解いただけるのではないだろうか。

ほとんどの産地では、行きさえすれば多くの個体を観察可能な本種群であるが、手許の数ある標本を眺めてみても類似した個体はほとんど見られず、ここまでの斑紋退化個体はかなり発現頻度が低いものと思われる。



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