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私の標本箱から (33)

ヒメヨツスジハナカミキリLeptura kusamai keiichii)♂ 徳島県剣山見ノ越 14.ⅷ.1980(写真1)
※ヒメヨツスジハナカミキリ(L. kusamai keiichii)♂ 高知県よさこい峠 22.ⅶ.1998(写真2)
※ヨツスジハナカミキリ(L. ochraceofasciata ochrotela)♂ 高知県梶ヶ森 28.ⅶ.1974(写真3)



半世紀も昔の1970年代、四国のヒメヨツスジハナカミキリ(ヒメヨツ)は良く分からなかった。本当にいるのか、いないのかも判然としないし、もしいるとしたらどんな輩なのかも全く不明の時代。九州から四国遠征されたAさんが、「これ、ヒメヨツでは?」と送ってこられた写真を拝見した私は、「残念ですが、これはタダヨツです。四国のはみんなこんなんですよ・・・」と即答でお返しした。

相前後して徳島在住のNさんが「これって、ヒメヨツでは!?」と送って来られたのが、1974年に高知県梶ヶ森で採集された写真3の個体。これは残念ながらヨツスジハナカミキリ(タダヨツ)の極小個体であったものの(後肢脛節の膨らみの弱さに注目!)、その後やはりNさんが1980年に剣山で採集された写真1の方は正真正銘のヒメヨツであった!これ、初めて四国産のヒメヨツを認識させていただいた貴重な個体となったが、あれだけ多くの愛好家が訪れているにも関わらず、他に本種が剣山で採れたと言う話をほとんど聞いたことがないというのは、やはり相当に珍しいからなのでしょう。

ついでながら、写真2は私が採集した唯一の高知県産ヒメヨツ。当日、愛媛県の金山谷で幾つか採った勢いで未記録の高知県産にも狙いを定め、多くのタダヨツの中から何とか1頭だけ引っ掛かってくれたもの。とは言え、高知県でもその後採れたという話は聞かないので、金山谷は唯一の例外として、それ以外では本当に少ないんでしょうね。

ちなみに、冒頭のAさん採集のタダヨツ。こうした時の経過の中で四国産ヒメヨツのベールが徐々に剥され、我々の目も少しずつ肥えてきたある日、たまたまこの時の写真を目にしたところ、何と!これも正真正銘のヒメヨツであったことが判明!!聞けば、この時すでに短報まで準備されていたとのことで、Aさんには本当に申し訳ないことをしてしまった・・・と今さらながら反省しきりである。


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