Pidoniaの世界へようこそ

私の標本箱から (29)

ヤマトヒメハナカミキリ(Pidonia yamato)♀ 宮崎県白岩山 4.ⅵ.2022(写真左)



先のキクスイモドキカミキリ九州亜種と同日・同場所での採集品。むろんTさんの手によるもので、嘗てssp.higeshiroとして記載されたこともある九州産の、今回は著しく黒化の進んだ個体。その記載文で新亜種の決め手とされていたのは、♂個体は差異が認められないものの、♀個体のアンテナが白いことと、斑紋が本州産とは若干異なる、というもの。ご承知の通り、その後四国でヒゲシロタイプが通常個体と混在する事実が判明し、併せて斑紋の地域差異はピドニア界では普遍的にみられる点をも鑑み、あえなくこの新亜種名は世に認知されることなく今日に至っている。が、こうした極端な個体を実見すると、やはり九州産は他の地域とは特化の度合いが異なるんだなぁ・・・との印象を感じないわけにはいかない(さすがに本州や四国産で、ここまで黒化の進んだ個体は見たことがありません)。

比較で並べた写真右の個体は分布東限の静岡県安倍峠産で、極めてノーマルな斑紋の個体。たまたま分布域の両端の比較となってしまったが、比べていただくと当該個体の黒化の著しさを認識していただけると思う。ちなみに、左個体と同じ日に採集されたもう一頭の♀個体は、ほんのり黒化が進んだ程度の標準斑紋タイプであっただけに、この個体の黒化の度合いが際立って目を引いたことは付記しておきたいと思う(初めてこの個体を見た時の印象は、素直に、おぉ~、これカッコイー!でした・・・笑)。


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