Pidoniaの世界へようこそ

長野県立科町夢の平林道~佐久市大河原峠 alt.1,900~2,070m 12.ⅶ.2007

かねてより八ヶ岳北部、蓼科山の北東に位置する大河原峠にも是非一度訪れてみたいと考えていた。車で2,000mまで登れること自体、我々年長虫屋族にはまことにありがたく、何より車横付けで亜高山性ピドニアに遭遇できるチャンスがあるというのは何とも魅力的だ。

かくして、2007年ピドコメツアーの一環で、初めてかの地を訪れてみた。白樺湖側からまずは夢の平林道(蓼科スカイライン)に進み入ると、標高1,900m付近でニシキウツギに遭遇。この花には思いのほか多くのピドニアが集まっており、中でも頭部~前胸背が真っ赤なニッコウヒメハナとの再会は懐かしくも嬉しく思ったような次第。


気をよくして立科町から佐久市側に進み入ると、所々むき出しの岩盤にヤマブキショウマが見られるようになり、案の定この花にも数多くのピドニアが群れている。途中沢を横切る場所には適度に湿り気があって、ピドニアのみならずコメツキにおいても良いポイントとなっていたのは有難かったが、期待していたナナカマドの花はすでに終わっていて、峠周辺で見られた多くの散り姿には残念な面持ちと共に、この花の満開時の再訪・リベンジを心に期すのであった。

この時の採集行で概ね現地の様子を把握することが出来たことを受け、翌年以降何度かかの地を訪れてみたが、ここは行くたびに何かしら新しい知見の得られる楽しい場所であり、当日未確認ながら後日確認できた種については、リストの後に追記をさせていただいた。

後日談ながら、この日の採集品の中から、よもやまさかのシラネヒメハナと思しき個体を見出し、後日ピドニア懇談会の合宿採集会に持参して参加者各位に見ていただいたところ、やはりどう見てもシラネヒメハナにしか見えない!との判断がなされたため、後日某誌にその旨を報告させていただいた。当該標本は、目下「ピドニア図説」を鋭意執筆中で、当日の合宿にも参加され、当該個体のシラネヒメハナ判断を下されたお一人でもある窪木幹夫氏が再度詳細を検討中で、非分布圏で唯1頭だけ採集された当該個体が、果たしてどのような扱いとなるのか!?期待と不安の交錯する中、図説の発刊が待たれるところである。

2007年7月12日の遭遇種
・ナガバヒメハナ P. signifera
・ホソガタヒメハナ P. semiobscura
・シラネヒメハナ? P. obscurior?
(明瞭なLm紋、太短いアンテナ、ボリューミィな前胸背、頭部~前胸背赤黄褐色の浅間山塊産風の♂)

左:同地のホソガタヒメハナ♂、中:当該個体♂、右:浅間山塊産シラネヒメハナ♂

・シンシュウヒメハナ P. hayakawai
・ヤノヒメハナ種群の一種 P. chairo系sp.(前種に似るもH紋を欠くタイプ)
・ニッコウヒメハナ P. limbaticollis
・ツマグロヒメハナ P. maculithorax
・ブービエヒメハナ P. bouvieri
・カクムネヒメハナ P. orientalis
・オオヒメハナ P. grallatrix
・ムネアカヨコモンヒメハナ P. masakii
・ヨコモンヒメハナ P. insuturata
・セスジヒメハナ P. amentata 
・オヤマヒメハナ P. oyamae
・ニセフタオビヒメハナ P. testacea
・フタオビヒメハナ P. puziloi
・チャイロヒメハナ P. aegrota

後年、同地での追加確認種
・ウスイロヒメハナ P. pallida
・ミヤマヒメハナ P. sylvicola
・マツシタヒメハナ P. matsushitai
・シナノヒメハナ P. suzukii
・タカネヒメハナ P. tsukamotoi

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