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私の標本箱から (45)

ニセフタオビノミハナカミキリ中部地方北域亜種(Omphalodera testacea sawadai )左・中♂♀:長野県小谷村鎌池~湯峠1,000~1,280m, 19.ⅶ.2004、右♂:新潟県妙高市乙見山峠1,300-1,500m, 17.ⅶ.2005

 2024年8月刊行の「日本のヒメハナカミキリ」(以下ピドニア図説)にて記載された新亜種。富山~長野~新潟各県の北アルプス北域から頚城山塊の限られた山域に分布する特異な亜種で、本来ならフタオビノミハナの生活圏で然るべき山域に分布する氷河期孤立個体群と考えられている。体毛はフタオビノミハナとニセフタオビノミハナの中間的様相を呈し(下写真参照)、一見フタオビノミハナ風の風貌でありながらも、よく見るとしっかりニセフタオビノミハナの特徴をも醸し出す、初心者にはかなり難解な個体群である。


左:新潟県大毛無山産フタオビノミハナ♂、左中:長野県小谷村産ニセフタオビノミハナssp. ♂、右中:新潟県乙見山峠産ニセフタオビノミハナssp. ♂、右:新潟県蓮華温泉産ニセフタオビノミハナ原名亜種♂

 21世紀初頭の2004年7月、頚城山塊で採集した2♂1♀(冒頭写真左・中)を当時は一見しただけでフタオビノミハナと理解していたが、その翌年より標高の高い新潟県側の乙見山峠で採集した個体(冒頭写真右)は明らかにニセフタオビノミハナの特徴を有し、頚城山塊でも標高差の中で両種が棲み分けているものと考えていた。

 ところが、ピドニア図説の執筆が続く中で、富山市在住の澤田研太氏により富山県内の一部地域に産する個体群の特異性が指摘され(ピドニア図説p150参照)、その後のフィールド調査と過去の標本調査を経て、晴れてOmphaloderaの新タクサとして認定された。富山県東部の一部、及び頚城山塊の主に長野県側で遭遇することができるが、何故か同山塊新潟県側の笹ヶ峰周辺にはフタオビノミハナが広く分布する等、両種は微妙に近接し合いながら生活圏を分けているように思われる。



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