Pidoniaの世界へようこそ

長野県南安曇郡安曇村安房峠 alt.1,600~1,790m 17~18.ⅶ.2003

この年も会社の休暇制度を利用してピドコメツアー(主にピドニアとコメツキを目的としたミニ採集ツアー)を決行した。ターゲットエリアは北アルプスから御嶽山にかけての南北に連なるラインで、北は蓮華温泉から南は御嶽山に至る要所要所のフィールドを順次転戦する行程だ。

その初日に選定したのが、松本インターからダイレクトに入ることの出来る安房峠。ピドニアを語る上で避けては通れない超有名採集地のひとつであり、今回は2度目の訪問ということで土地勘も分かっており不安はない。当日の朝、自分としては珍しくちょっぴり遅めに自宅を発ち、お昼過ぎに松本インターを降りて一路岐阜県境の山岳エリアを目指す。

安房トンネル開通後、すっかり交通量を減じてしまった旧道に進み入り、つづら折りの道をトレースしながら順調に標高を稼ぐ。時折ライダー族が団体で走リ抜けたりはするが、静寂を取り戻した旧道の存在は虫屋族にはありがたい限りだ。

最初に降り立ったのは標高1600mを超えた辺りの林道分岐。この奥、上高地乗鞍スーパー林道は崖崩れのため通行不可で、入口に車を置いての林道歩き採集となる。幸いすぐにヤマブキショウマやオニシモツケの花から筆頭ターゲットであったハクサンヒメハナ(ここが北アルプス南限記録地)がネットインし、気をよくしてどんどん奥に進み入るも、以降はさしたる成果もないままに時間だけが無為に過ぎ去るばかり。


林道歩きを終えた後は本命・安房峠を目指すべく標高を稼ぎながら峠を目指していると、頃合いもよろしくミズキ、ゴトウヅル、オニシモツケ、ヤマブキショウマの花がそこかしこに咲き乱れ、これらの花からピドニアを軸とした各種甲虫類が次々とネットに入る。ここは本当にピドニアの多いところで、ご近所の島々谷と共にまさに国産ピドニアの核心地と言っても過言ではないほどに種類数・個体数共に豊富なところだ。ただこの日は、前回のクビアカハナ、ニセハムシハナのようなラッキーパンチに遭遇することはなく、ここでもただ淡々と時間だけが経過していたそんな折、峠の手前で遭遇したパンクでお困りのご夫婦の手助けをして、この日はちょっぴり晴れやかにかの地を後にしたような次第。


当日は麓の沢渡(さわんど)で一泊し、翌午前中も同じ行程で調査を継続したものの、中腹の林道歩きの際にミセンヒメハナと遭遇できた程度で、あとはハッとするような感動もなく前日と同じような成果に終始する。そして峠での昼食を機に、次なる目的地・白馬方面を目指してこの界隈での採集調査を終えたのであった。

2003年7月17~18日の遭遇種
・ホソガタヒメハナ P.semiobscura
・ハクサンヒメハナ P.obscurior hakusana


・ナガバヒメハナ P.signifera
・シンシュウヒメハナ P.hayakawai


・ウスモンヒメハナ P.pallida
・ミヤマヒメハナ P.sylvicola
・マツシタヒメハナ P.matsushitai
・オオバヤシヒメハナ P.limbaticollis ohbayashii
・ブービエヒメハナ P.bouvieri
・アサマヒメハナ P.takechii
・カクムネヒメハナ P.orientalis
・ツマグロヒメハナ P.maculithorax
・ミセンヒメハナ P.misenina
・キベリクロヒメハナ P.discoidalis
・オオヒメハナ P.grallatrix
・ヨコモンヒメハナ P.insuturata
・ムネアカヨコモンヒメハナ P.masakii
・ミワヒメハナ P.miwai
・オヤマヒメハナ P.oyamae
・チャイロヒメハナ P.aegrota
・ニセフタオビヒメハナ P.testacea
・フタオビヒメハナ P.puziloi



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